日本禁煙学会・作田学理事長の刑事告発に関する記者会見─横浜副流煙裁判

更新2021年5月8日

www.kokusyo.jp  2021年5月8日閲覧

 2021年3月29日、日本禁煙学会理事長の作田学の刑事告発に先立ってプレスリリースが行われた。これは横浜副流煙裁判、横浜副流煙訴訟に関連するものである。スラップ訴訟や冤罪事件などの問題が指摘されていた。

 横浜副流煙裁判は私自身、以前から気になっていた。それは私を含め少なからぬ人々がいつスラップ訴訟に巻き込まれるかわからない、得体のしれない怖さを感じるからだ。何が怖いのかを言葉で説明するのは難しい。ただ怖いとしかいいようがない。禁煙運動という「社会を良くするため」の活動が、思わぬ方向に進む。学術活動としても首をかしげたくなるような現象である。

 そのような横浜副流煙裁判について、事件の核心部分に関与した作田氏が刑事告発されるという。大きな動きである。

  告発人の一人である黒薮哲哉氏が、冒頭の記事でプレスリリースの詳細を報じている。プレスリリースの全文も掲載されている。私はそのなかの「刑事告発に踏み切った理由」が特に目に留まった。ただ恐怖を感じる、というのはまさにこである(以下の引用)。

しかし、作田医師が交付した診断書の内容は、診察をしないという医師法違反の行為により作成されただけでなく、みずからが理事長を務めている日本禁煙学会が推進している喫煙撲滅運動の政策目的に合わせて作成された、医学的な根拠を欠くものであったといわざるを得ません。「受動喫煙症」という病名は、世界標準の疾病分類であるICD10コードには存在しません。実際、A娘らが起こした訴訟は、一審も二審も棄却されました。

 

(出典)黒薮哲哉(2021)「横浜副流煙事件、刑事告発のプレスリリース全文公開、診断書の悪用に警鐘」『MEDIA KOKUSYO』(2021年3月30日、2021年4月21日閲覧)。下線は寺沢重法が加えた。

 ポイントは少なくとも3点ある。(1)作田氏が法的な問題のある診断書を発行したこと、(2)ICD10コードに存在しない病名を記載したこと、(3)これらが学術団体の活動が関連していることである。特に3点目である。活動の一環に法に触れる行動が含まれる場合、これは社会運動のあり方として、学術団体のあり方として適切なものなのだろうか。確かに、ある目的を達成する上で現行の制度ではうまくことが進まないケースはあろう。だからといって、やり方を間違えた目的が正当化されるかどうかは疑問だ。正義感の暴走が関連しているとも思われる。

 記者会見の様子は告発人の一人である藤井敦子氏がYouTubeで配信している。

youtu.be  2021年5月8日閲覧

 横浜副流煙裁判については、様々ななサイトでその経緯が紹介されている。先の黒藪氏のサイトでも一連の事件を報じている。そして下記のサイトが重要である。前者は煙福亭氏、後者は藤井敦子氏によるものである。ぜひ直接見ていただきたい。

smokepeace.net  2021年5月8日閲覧

note.com  2021年5月8日閲覧

 日本禁煙学会と聞いてもピンとこないかもしれないが、宮崎駿監督『風立ちぬ』の喫煙シーンに抗議をした団体と言われれば思い当たるふしがあるかもしれない。

biz-journal.jp  2021年5月8日閲覧

 また、『ちびまる子ちゃん』の作者として知られる故さくらももこ氏の訃報について、氏がヘビースモーカーであることと乳がんを関連付けて批判したこともある。これも日本禁煙学会の活動として記憶にあるかもしれない。

www.buzzfeed.com  2020年5月8日閲覧

 署名はいずれも日本禁煙学会理事長・作田学氏の名前で行われている。

付記2021年4月28日

 週刊新潮日刊ゲンダイにおいて報じられた。

www.dailyshincho.jp  2021年5月8日閲覧

www.nikkan-gendai.com 2021年5月8日閲覧

付記2021年5月8日

 PRESIDENT Onlineにおいて報じられた。

president.jp  2021年5月8日閲覧