www.psychologytoday.com 2021年4月12日閲覧
『The Polyamorists Next Door』(Sheff 2013)などのポリアモリーに関する著作で知られるElisabeth Sheff氏による『Psychology Today』の記事。
諸宗教がポリアモリーに対してどのような見解を示しているのか、宗教とポリアモリーはどのような関係を築き得るのかを検討している。各宗教の特徴の要点をかいつまむと以下のようになる。議論の中心はアメリカの宗教である。
キリスト教、特に保守的なキリスト教は婚外交渉に否定的である一方、旧約聖書などには一夫多妻の記述も見られる。モルモン教は一夫多妻で知られつつもが、女性が複数の男性と関係をもつという話は特にないという。一夫多妻を認めるイスラム教も、女性には認めないようである。ユダヤ教は性に対して相対的にリベラルだが、スタンスによる違いもあるという。
ユニテリアン・ユニヴァーサリズム(UU) (Wikipedia日本語版2021年4月12日閲覧)は、ポリアモリーに対しては積極的に取り入れる立場もあれば、必ずしもそうではない立場もある。仏教は愛着をもたらすものかどうかが論点になる可能性がある。ペイガニズム(Wikipedia日本語版2021年4月12日)とポリアモリは価値観の少なからぬ部分を共有する。後半ではタントラなどが言及される。
雑感
ポリアモリーに対する見解はキリスト教とイスラム教が1つのグループを形成しているように感じた。ポリアモリーに対する価値観の背後に、女性の婚外交渉や婚前交渉にどれだけ寛容であるかという問題があるようである。この記事では特に言及されていなかったが、それぞれの宗教の指導者や団体が、女性の性に対する寛容性とポリアモリーをどう関連させて見解を述べているかを詳しく知ってみたいところである。
仏教の見解は、アメリカにおける仏教の位置づけに基づいている印象を受ける。日本を含むアジア諸地域の仏教的見解を調べた場合、おそらくはかなり違う姿が見えてくるように推察する。記事の最後の部分は深海(2017)の第6章と併読すると理解がより深まるかもしれない。
参考文献