夕樹舞子のVCDは香港でなぜ受容されたのか?(Yau and Wong 2009)

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  • Yau, Hoi-Yan and Heung-Wah Wong (2009) “The Emergence of a New Sexual Ideal: A Case Study of Yuki Maiko's Pornographic VCDs in Hong Kong" Journal of Archaeology and Anthropology 70: 1-46(邱愷欣・王向華(2009)「新性感女神典範之興起─夕樹舞子色情光碟在香港之個案分析」『考古人類學刊』70:1-45)DOI:10.6152/jaa.2009.06.0001

 Japanese Adult Videos in Taiwan(Wong and Yau 2014)の著者らによる論文。この論文では夕樹舞子の作品が香港で受容された要因を論じている。

 アジア諸地域で日本のAV、AV女優が人気を集めていることは比較的よく知られている。近年では中国の蒼井そら、台湾の波多野結衣が挙げられよう。

 本論文の対象地域は香港であり、夕樹舞子の作品を取り上げている。媒体はVCDである。香港のポルノは、Wikipediaに「香港における成人向け映像」とう項目が別途設けられており、その概要を知ることができる。夕樹氏の作品は、VCDが普及した90年代以降のものに含めることができそうである。

 こうした夕樹氏のVCDがなぜ香港で人気を博したのかを検討たのが本論文である。17名の香港人男性のインタビューをデータとしている。

 要旨によると、大きな要因の1つは、90年代の香港における新中間層の台頭である。この時代に形成された、女性のイメージや性的理想像が、性的でありつつも受動的であるという夕樹氏の作品に近いものがあったという。インタビュー対象者のアイデンティティ形成における日本文化の位置づけなども検討されている。

参考文献

  • Wong, Heung-wah and Hoi-yan Yau (2014) Japanese Adult Videos in Taiwan, Routledge.