『社会調査の計量分析』(川端編2010)

 大阪大学のSRDQシステムを用いて計量分析を学ぶためのテキスト。本書の最大の特徴は、SRDQに寄託された本物の社会調査データの分析を行えることにある。
 テキストの各章ではその分析方法を用いた論文が提示される。まず、この論文を読み、次にテキストを見ながらSRDQ(ネット環境があればどこでも使用可能)を使ってその論文の分析を再現する。最後に章末の練習問題を解くことでより分析のコツがのみこめるようになる。
 実際の論文を読みその分析を追体験しながらするという実践的スタイルが目玉である。分析方法はクロス集計、平均値の比較、重回帰分析、パス解析、ロジスティック回帰分析、因子分析、クラスター分析など計量社会学でよく使われる分析方法が一通り盛り込まれています。特に社会学専攻で計量分析を独習してみたい人はまず本書で学んでみると良いだろう。

※この記事は、北海道大学付属図書館主催企画「本は脳を育てる」に寄稿した紹介文を大幅に加筆修正して再掲したものです。