『社会の見方、測り方』(与謝野・他編2006)

 計量社会学ためのテキスト兼ハンドブック。
 記述統計、相関分析、クロス表分析、平均値の比較、重回帰分析、パス解析、共分散構造分析、マルチレベル分析、ネットワーク分析、因子分析、主成分分析、ブール代数分析など基礎から応用まで非常に幅広い手法が紹介されている。

 単に手法を説明するだけではなく、具体的な社会現象(自殺、都市化、階層など)をそれらの手法で分析するというスタイルで書かれている。そのため統計的手法で社会現象を分析するという計量社会学の醍醐味がいかんなく発揮されたテキストである。
 本書をより正確に読みこなすためには社会統計学の基礎知識や計量分析の実習経験などがあった方がよいと思われるが、れらがなかったとしても本書各章の基本的な考え方は理解できる。社会学社会心理学政治学、経済学、社会医学などを専攻する人にとって特に興味深いテキストだと思われる。

 姉妹編に『社会を<モデル>でみる』がある。こちらは数理社会学のテキストである。
※この記事は、北海道大学付属図書館主催企画「本は脳を育てる」に寄稿した紹介文を大幅に加筆修正して再掲したものです。