華人社会、台湾のノンモノガミー

 2021年に刊行された横田祥子著『家族を生み出す─台湾をめぐる国際結婚の民族誌』(春風社)の中の「正妻と妾─漢族にみる婚姻の種類・定義」(pp.110-117)で、華人社会、台湾における正妻と妾の関係が解説されている。

 台湾の地方都市のフィールドワークを行う中で人々が国際結婚配偶者を「買う」「買われた」といった言葉で表現するのを聞いたが(pp.110-111)、それに対する背景要因の一つとして指摘したのが華人社会の婚姻システム(正妻と妾)である。

内縁関係にある女性──妾──は、正妻との結婚で妻方が夫方から贈られる儀礼的財を贈られず、婚資に相当する財はすべて現金で支払われた。またその際、女性の生家は娘に持参財を持たせなかった〔Watson, R. S. 1991: 236〕。したがって、実際に夫には妻が一人しかいなくても、持参財を一切伴わないで嫁入りした女性は、内縁の妻と同一視された〔ibid.: 239〕。

(出典)横田祥子(2021)『家族を生み出す─台湾をめぐる国際結婚の民族誌春風社、p.115より。

 Watsonの研究は下記のものである(香港の研究)。

california.universitypressscholarship.com