台湾における宗教と酒・たばこ・ビンロウ(Chen2014)

更新2021年7月3日

 台湾における酒・たばこ・ビンロウという三つの嗜好品に着目した論文(私の主たる関心はビンロウである)。台湾におけるビンロウに関する社会科学的分析としてChen et al.(2006)は職業に着目していたが、本論文が取り上げるのは宗教である。

 なお、論文タイトルにある「Religious affiliation」は、仏教、道教キリスト教といった具体的な宗教のカテゴリーのことである(「あなたの宗教は何ですか?」と聞かれた時に答えるもの)。

 結果としては、有意な関連が見られるのはビンロウのみであり、民間信仰等の伝統宗教の人々がビンロウを使用する傾向があることが指摘されている。ビンロウといういわば「台湾在来の嗜好品」が「伝統宗教」と結びついていることを明らかにしたことが本論文の意義であろうか。本論文を引用している研究リスト(Citing articles)を見てみると、イギリスにおける宗教と喫煙の関連を論じたHussain et al.(2017)で本論文が参照されているようである。酒であれたばこであれビンロウであれ、宗教と嗜好品というテーマは重要なトピックであるように感じられる。

参考文献

  • Hussain, M., Walker, C. & Moon, G. Smoking and Religion: Untangling Associations Using English Survey Data. J Relig Health 58, 2263–2276 (2019). https://doi.org/10.1007/s10943-017-0434-9
  • Chen CY, Chen WC, Lew-Ting CY, Lee CM, Yen CF, Chen DR, Hsiao CK, Lin CC, Yang MJ, Lai TJ, Chen WJ. Employment experience in relation to alcohol, tobacco, and betel nut use among youth in Taiwan. Drug Alcohol Depend. 2006 Oct 1;84(3):273-80. doi: 10.1016/j.drugalcdep.2006.03.003. Epub 2006 Apr 5. PMID: 16600528.