寺沢重法のブログ

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【刊行】書評『火輪』第43号(Nicole Zarafonetis, Sexuality in a Changing China: Young Women, Sex and Intimate Relations in the Reform Period, Routledge, 2017)

 『火輪』第43号に書評を書きました。

karin-natachan.hatenablog.com 2022年6月23日閲覧

回帰関係(岩崎2021)

  • 岩崎学(2021)「統計的因果推論の視点による重回帰分析」『日本統計学会誌』50(2):363-379。

 『統計的因果推論の理論と実装─潜在的結果変数と欠損データ』で岩崎(2021)の「回帰関係」が取り上げられていた(高橋2022:1)。興味深くかつ重要な概念だと思われるため、ここにメモをしておく。

これまでの統計学のテキストでは、『因果と相関は異なる』として「因果関係」と「相関関係」を対峙させることが多いが、ここではその中間として「回帰関係」を想定する。その定義は『必ずしも因果関係ではないが予測には有用な関係』である。

(出典)岩崎学(2021)「統計的因果推論の視点による重回帰分析」『日本統計学会誌』50(2):363-379、p.365。

参考文献

Rによる統計的学習入門(原著)

 『Rによる統計的学習入門』の原著(英語版)An Introduction to Statistical Learning: with Applications in Rが無料公開されている(下記のリンク先のDownload the Second Edition)。

www.statlearning.com 2022年5月6日閲覧

華人社会、台湾のノンモノガミー

 2021年に刊行された横田祥子著『家族を生み出す─台湾をめぐる国際結婚の民族誌』(春風社)の中の「正妻と妾─漢族にみる婚姻の種類・定義」(pp.110-117)で、華人社会、台湾における正妻と妾の関係が解説されている。

 台湾の地方都市のフィールドワークを行う中で人々が国際結婚配偶者を「買う」「買われた」といった言葉で表現するのを聞いたが(pp.110-111)、それに対する背景要因の一つとして指摘したのが華人社会の婚姻システム(正妻と妾)である。

内縁関係にある女性──妾──は、正妻との結婚で妻方が夫方から贈られる儀礼的財を贈られず、婚資に相当する財はすべて現金で支払われた。またその際、女性の生家は娘に持参財を持たせなかった〔Watson, R. S. 1991: 236〕。したがって、実際に夫には妻が一人しかいなくても、持参財を一切伴わないで嫁入りした女性は、内縁の妻と同一視された〔ibid.: 239〕。

(出典)横田祥子(2021)『家族を生み出す─台湾をめぐる国際結婚の民族誌春風社、p.115より。

 Watsonの研究は下記のものである(香港の研究)。

california.universitypressscholarship.com

ポルノの公衆衛生学的研究(Rothman 2021)

 公衆衛生学の観点からポルノを論じた研究。Oxford Schllarship Onlineで各章のアブストラクトを読むことができる。

oxford.universitypressscholarship.com 2022年4月28日閲覧

 目次は以下の通りである。

  1. アメリカの公衆衛生問題としてのポルノ
  2. ポルノの定義
  3. ポルノ視聴者
  4. ポルノの内容
  5. ポルノと攻撃
  6. ポルノの問題のある使用
  7. ポルノと親密な関係
  8. 青少年に対するポルノの影響
  9. ポルノと身体イメージ
  10. 児童の性的虐待画像
  11. ポルノと人身取引
  12. ポルノ出演者の職業上の安全と健康
  13. ポルノの利点
  14. ポルノリテラシー

 第13章はポルノはどのような意味で問題なのかを考える上でも重要である。第11章と第12章はAVに関連する議論にもつながると思われる。興味深そうである。

トランスジェンダーに対する態度と宗教の関連に関するレビュー論文(Campbell and Anderson 2019)

  • Campbell, M., Hinton, J., & Anderson, J. R. (2019). A systematic review of the relationship between religion and attitudes toward transgender and gender-variant people. The international journal of transgenderism, 20(1), 21–38. https://doi.org/10.1080/15532739.2018.1545149

 トランスジェンダーに対する態度に対して宗教がどのような関連を示してきたのかを論じたシステマティックレビュー論文。研究背景からはトランスジェンダーと宗教の関係を論じた研究自体は、まだ十分とは言えない研究状況がわかる。レビューのために抽出したのは約30の論文であり、Table.1に各論文の方法論や主な知見がまとめられている。全体的な知見としてては、宗教はトランスジェンダーに対する偏見と関連し、特に保守的な宗教と偏見の関連が確認されてきたとのことである。

 分析結果の目次に基づく論文の構成は以下の通りである(一部省略あり。頁数はPDFのもの)。これらの論点ごとに知見が整理されていく。

  • 「宗教的アイデンティフィケーション」(p.25)
  • 「特定の宗教属性」(p.25)
  • 「一般的宗教性」(p.31)
  • 「宗教的ファンダメンタリズム」(p.32)
  • 「宗教を一字一句信じること」(p.32)
  • 「宗教参加頻度」(p.32)
  • 「宗教教育」(p.32)
  • ジェンダー」(p.32)
  • 性的指向」(p.33)
  • 「ターゲットになるジェンダー/性」(p33)

ジェンダー、セクシュアリティ、宗教に関するレビュー論文(Schnabel et al. 2022)

  • Schnabel, L., Abdelhadi, E., Ally Zaslavsky, K., Ho, J.S. and Torres-Beltran, A. (2022), Gender, Sexuality, and Religion: A Critical Integrative Review and Agenda for Future Research. Journal for the Scientific Study of Religion. https://doi.org/10.1111/jssr.12781

 ジェンダーセクシュアリティに対して、原因、効果、中間媒介効果としての宗教がいかなる関連を示してきたのかを扱ったレビュー論文。10の問いに基づきながら論述する。

処女・童貞であることをどこまでカミングアウトしているのかを測定するための尺度作成(Barnett et al. 2021)

 処女・童貞であることをどこまでカミングアウトしているのか、あるいはしていないのかを測定するための尺度、disclosure of virginity status(DVS)を作成した論文。

 家族、仲間、宗教的人物に対するカミングアウト状況を測定。DVSにはジェンダー差が確認されたという。

「コロナ禍で増える既婚者のプラトニック恋愛。100人調査でわかった不倫との違いは…」(日刊SPA!2021年11月10日)

nikkan-spa.jp  2022年4月3日閲覧

 コロナ禍の不倫とプラトニック恋愛に関する調査。

コロナ禍は、既存の人と人との関係性を分断する一方で、人が人との新しい絆を求める傾向を強め、それは、本来家庭を顧みなくてはならない既婚者にも波及しているのではないだろうか。

(出典)コロナ禍で増える既婚者のプラトニック恋愛。100人調査でわかった不倫との違いは… | 日刊SPA!(2022年4月3日閲覧)

 

性のダブルスタンダードを正しいと思う理由(Wesson 2022)

 性的ダブルスタンダードがが正しいとされるのは何故だと思うかを調査した論文。調査対象はアメリカの若年者。量的調査と質的調査が併用される。
 結果、たとえば、昔から(親、時代、宗教の影響)、行動自体が受け入れられない(マナー、男性/女性文化、生物学的理由etc)、メディアの影響などが指摘されるという。

アメリカの銃文化の社会学に関するレビューと展望(Yamane 2017)

  銃文化の社会学に関するレビューと展望。アメリカにおいて銃が重要な議題であり続けてきたことは言うまでもないが、先行研究の多くは犯罪学を中心とする領域で行われてきた。著者のYamane氏は社会文化的存在としての銃に着目し、銃文化の社会学を提唱する。Gun Culture 2.0という概念も提起される。銃に関するエポックメイキングな調査研究が紹介されるている。

 今後の展望の1つとして、女性やLGBTの銃所持を研究する必要性も指摘される(5.3 Focus on Marginalized Populations)(銃=白人・男性etcというイメージを相対化するため)。

 

 

「「台湾守った」 蔡総統が蔣経国評価し波紋 中国対抗へ結束アピール」(産経新聞2022年1月25日)

www.sankei.com  2022年3月31日閲覧

 蒋経国とその時代は台湾で人気がある。コンセンサスを得やすいのも理由の1つかもしれない。