市民の6割のアイデンティティが「中国人」ではなく「台湾人」 台湾の未来、2024年1月の台湾総統選の行方は?(文春オンライン)

 先日出版された家永真幸『台湾のアイデンティティ:「中国」との相克の戦後史』(文春新書)の紹介と一部を抜粋した記事。台湾の中に見られる歴史の認識の仕方についての下記の議論が示唆的だった。

 未来像が異なれば、「歴史」の捉え方も変わってくる。中華民国を中心に据える歴史観をとれば、中国大陸で過去に起こった出来事こそが「私たちの歴史」にとって重要だということになり、また日中戦争は日本の侵略と戦った戦争と位置づけられることになる。これに対し、台湾を中心に据える歴史観をとれば、台湾という地理空間で過去に起こった出来事こそが重視され、日中戦争は日本の支配下に置かれた状態で参加した戦争と位置づけられることになる。

 日本人が「台湾の歴史」を学んでいく時、無意識的にどちらかの歴史に自らを引き寄せ、半ば当事者としてその歴史を内在化させていくのではないかと推察する。