JGSSにおける性関連項目のDK・NA

 JGSSにおける性に関連する設問で、「無回答」や「わからない」がどのように分布しているのかをメモする。

 性に関する社会調査は様々な難しさを抱えているといわれる(Katherine 2015)。たとえば、公言しくいテーマであるがゆえに、無回答バイアスや社会的望ましさバイアスが生じることが考えられる。JGSSでは性に関連する設問が組み込まれることがあるが、岩井(2002)は「セックスの回数」に関する設問の難しさを示唆している(岩井2002:268)。

 「JGSS 累積データ 2000-2018 基礎集計・コード表」(2021年6月4日閲覧)から関連しそうなものをピックアップしてみると、以下のものがある(岩井(2002)も参照)。

  • 「セックスの頻度」(2001年、2001年)(p.190)
  • 「婚外交渉について」(2000年、2001年、2008年)(p.190)
  • 「10代の売春について」(2000年、2001年)(p.190)
  • 「同性愛について」(2000年、2001年、2008年)(p.190)
  • 「ポルノ:社会道徳」(2000年、2001年、2008年)(p.191)
  • 「ポルノ:規制について」(2000年、2001年、2008年)(p.191)

 そして、「無回答」「わからない」「回答したくない」の割合を見ると、「セックスの頻度」と「ポルノ:社会道徳」において、これらが全体の約40%を占めており、時点間での大きな差はないように見受けられる。

 他の調査項目では約2%である。たとえば「10代の売春について」は約1%「婚外交渉について」は約3%である。 

 性行動そのものに関する質問、ポルノと公序良俗に関する設問については、DK、NAも価値観の1つとして見ていく必要がありそうである。 

参考文献

  • 岩井紀子(2001)「日本版General Social Surveys (JGSS) と家族測定項目─第1回予備調査データの検討」『家族社会学研究』12(2):261-270。
  • 岩井紀子(2002)「第7章 性にまつわる意識」岩井紀子・佐藤裕樹編『日本人の姿─JGSSにみる意識と行動』有斐閣選書:222-230。
  • Frank, Katherine (2015) “Observational Methods in Sexuality Research,” DeLamater, John and Rebecca F. Plante, eds. Handbook of the Sociology of Sexualities: Springer: 123-146.
  • 「JGSS 累積データ 2000-2018 基礎集計・コード表」(https://jgss.daishodai.ac.jp/research/codebook/JGSS-2000-2018_frequencytables.pdf、2021年6月4日閲覧)