『福祉資本主義の三つの世界』(エスピン・アンデルセン2001)

 エスピン・アンデルセンによる福祉社会の比較歴史社会学の重要書。

 近代化・社会主義化といった単線的な軸で、各地域を分析・比較するのではなしに、各地域ごとの福祉制度の歴史的展開に分け入りながら、「保守主義ジーム」(ドイツやイタリアなど)、「社会民主主義ジーム」(北欧)、「自由主義ジーム」を作成し、福祉社会の比較分析がなされている。歴史叙述の詳細さやマクロ統計を駆使した比較など圧巻である。

※この記事は、北海道大学付属図書館主催企画「本は脳を育てる」に寄稿した紹介文を大幅に加筆修正して再掲したものです。