repositories.lib.utexas.edu 2021年9月8日閲覧
- Zhai, Jiexia (2007) Religion, Gender, and Family Relations in Taiwanテキサス大学オースティン校博士論文。
今日の台湾において宗教がジェンダー、セクシュアリティ、家族にどのように関連しているのかを分析した宗教社会学的論文。アメリカの宗教社会学の流れを汲んでいる。多変量解析とインタビュー調査を用いて個人の価値観を論じている。計量分析のデータは台湾社会変遷基本調査(Taiwan Social Change Survey)とKAPであり、インタビュー調査は台北で実施されている(pp.12-15)。
目次を記載する。
- Chapter 1 Introduction
- Chapter 2 Religion and Gender Role Attitudes in Taiwan
- Chapter 3 Religion and Educational Aspiration in Taiwan
- Chapter 4 Religion and Abortion in Taiwan
- Chapter 5 Discussion and Future Directions
性別役割規範(Chapter 2)、教育アスピレーション(Chapter 3)、中絶に対する賛否(Chapter 4)という3つの局面が取り上げ、それぞれの局面ごとに宗教との関連を分析している。宗教に関する変数は宗教属性(religious affiliation)である(カトリック、プロテスタント、一貫道など)。Chapter 4では信仰熱心さも考慮される。
性別役割規範については、女性の就労、家事分担、男性の家事参加に対する賛否が扱われている(pp.38-40)。結果は複雑だが、全体的な傾向としては、プロテスタントと一貫道は性別役割規範に肯定的なようである。
教育アスピレーションについては、男子に期待する教育年数、女子に期待する教育年数を宗教属性で比較している(pp.71-76)。プロテスタントの教育アスピレーションが最も高い傾向が示されている(ただ、私が見た限りでは女子に対しては男子ほどの教育年数を期待していないように思う)。
中絶については、「間引き」、子供を更に望まない、家族計画の失敗、経済的理由、未婚の妊娠という理由ごとに賛否を尋ねている(pp.106-112)。全体的に見ると、信仰熱心なクリスチャン、一貫道の道親がいずれの中絶に対しても反対する傾向にあるようである。
感想