麻生太郎氏「戦う覚悟」発言の台湾での賛否

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 麻生太郎氏の「戦う覚悟」発言に対する台湾での賛否に関して、台湾民意基金会が2023年8月に台湾で実施した世論調査の結果が出ている(2023年8月22日発表)(p.7、図5、図6)。

非常同意28.6%/還󠄁算同意27.5%/没意見5.5%/不太同意17.7%/一點也不同意15.4%/不知道5.3%(n=1081)

 同意(非常同意+還󠄁算同意)は56.1%で、不同意(不太同意+一點也不同意)が33.1%である。同意がやや勝った賛否両論というところだろうか。判断が難しい。日本の報道等で見受けられた、麻生氏の発言は台湾で歓迎された、麻生氏は台湾のことをわかっている、という主旨の言説は妥当とまでは言えないのかもしれない。

 さらに支持政党別と統一独立別の%も算出されている(p.6)。

<支持政党>

民進党:同意79%/不同意14%

国民党:同意25%/不同意62%

民衆党:同意53%/不同意45%

中性選民:同意47%/不同意36%

<統一独立>

独立:同意74%/不同意20%

統一:同意33%/不同意64%

現状維持:同意46%/不同意44%

 なお、性別、年齢、教育、職業、地域による明瞭な関連は見られなかったという。

 民進党では同意が多く、国民党では不同意が多いという違いが比較的はっきりしている。中性選民(≒無党派層)は賛否両論で、同意がやや少ない。民衆党支持者は同意がやや多い。

 独立は同意が多く、統一は不同意が多い。統独の違いが比較的はっきりしている。現状維持派は賛否両論で、同意がやや少ない。

 総じて、麻生氏の「戦う覚悟」発言は、民進党支持者や独立志向者などの緑的な政治意識の人々が肯定的で、国民党支持者や統一志向者などの藍的な政治意識の人々が否定的に見受けられる。ただ、台湾の統計的マジョリティーが中性選民と現状維持であることも考えると、台湾全体としては評価が割れているのだろう。