信仰に基づく組織(FBO)にかわる概念を提案したレビュー論文

  • Sarah Maes , M. Schrooten , P. Raeymaeckers & B. Broeckaert (2023) Faith-based organizations and poverty alleviation: a scoping review on definitions and terminology (2010–2021), Journal of Religion & Spirituality in Social Work: Social Thought, DOI: 10.1080/15426432.2023.2270930

 FBO(信仰に基づく組織)に変わる概念としてRSIs(religion-based solidarity initiatives、宗教に基づく連帯イニシアティブ)を提案したレビュー論文。

 以下は論文要旨の便宜的日本語訳。

本論文では、貧困緩和の分野で活動する信仰に基づく組織(FBOs)に関する科学的文献(2010-2021)を、FBOという用語の定義と使用方法に焦点を当てながら調査したスコーピングレビューの結果を報告する。52件の関連研究が特定され含まれた。研究の結果、FBOsという用語は主にアメリカの研究で使用されていることが明らかになった。さらに、この用語の正確な定義や意味、その範囲についての大枠のコンセンサスはない。この用語のコンセンサスの欠如と特有の欠点ゆえに、FBOという用語を「宗教に基づく連帯イニシアティブ」(RSIs)という用語に置き換えることを提案する。RSIsを「宗教的インスピレーションから、弱い立場の人々への集合行動の組織化やサポート提供を目的とするイニシアティブ」として定義する。これらのイニシアティブは、小規模な特定の目的のためのイニシアティブから、大規模なフォーマル組織にまでわたる。

 同一著者らによるFBOのタイポロジーに関するレビュー論文でも、コンセンサスを得らえるような定義を見出すことはできないことが指摘されていた。

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