台湾における姦通罪の違憲判断をめぐる情報いくつか

更新2021年3月30日
 先日、台湾における「姦通罪」(「通姦罪」)に対して違憲であるとの判断がなされたようだ。
・「姦通罪は「違憲」 大法官会議が判断/台湾」(『フォーカス台湾』2020年5月29日)
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/202005290010.aspx (2020年6月3日アクセス)
 記事には以下のように書かれている。
司法院大法官会議は29日、配偶者以外との性交渉を処罰する姦通罪は「違憲」だとする判断を下し、姦通罪について規定した刑法第239条は即日失効すべきとの解釈を示した。
 (同記事)
 速やかな失効を求めるとのことも興味深い。判断の理由を見ると、婚姻関係に対する国家介入の不利益を見てのことのようだ(以下の引用)。
婚姻の約束に背いた配偶者を国家が刑罰によって処罰することは当事者をこらしめる作用があるものの、国家権力の介入によって婚姻関係に悪影響が生じる可能性もあると大法官は判断したと述べた。
 (同記事)
 そして2020年6月2日には、姦通罪の服役者が釈放されたとのことが報じられている。
・「〔のぞき見〕姦通罪の服役者が釈放」 (『NNA ASIAアジア経済ニュース』(2020年6月2日)
https://www.nna.jp/news/show/2050694 (2020年6月3日アクセス)
 また、『蘋果日報』のサイトで「通姦」というキーワードを入れて検索すると少なからぬ数の記事がヒットする。
https://hk.appledaily.com/ (2020年6月3日アクセス)
 姦通罪をめぐる動向は、台湾におけるセクシュアリティに関連する社会現象において、大きな影響力をもつかもしれない。
 台湾の姦通罪については宮畑(2016)が詳しく論じている。
参考文献
  • 宮畑加奈子(2016)「台湾─姦通罪における男女格差の現状と課題」『法政論叢』 52(2): 173-188