台湾において親子間でどのような性にまつわる話がなされるのか?(Yang and Wu 2006)

更新2021年5月31日 

journals.sagepub.com

  台湾における親子間でなされる性に関連する会話の特徴を分析した論考。欧米などの実証社会科学的研究に比べて、台湾では、親子間の性に関する会話の研究があまりなされてはいない。そこで台北の高校生を対象としたデータで分析を試みるという(pp.79-80)。

 本論考では、特にジェンダーの違いに着目している点、そして性に関する個別具体的な内容の設問を設けて測定している点が特色と言えようか。分析の結果明らかになったのは、親と息子の間よりも、むしろ親と娘の間の方が性に関する話をする傾向にあるのではないかというジェンダー差である(p.83)。
 私の直感的なイメージとしては、本論考の分析結果とは逆に、親と娘の間では性に関する話をしない傾向にあるとも予想していたため、意外と言えば意外な分析結果であった。もっとも、要約にもあるように、全体的に頻度の高いのは身体の発育に関する話である。身体的な議題を比較的パブリックな話題にする場合、青少年如何に関わらず、ジェンダー差が推察されなくもない。全体的な傾向を見ておく必要もあるかもしれない。