セックスドール売春宿(sex doll brothel)

更新2021年3月30日
 「売春」ほど賛否の激しい営為はないかもしれない。公娼制の敷かれた国もあれば認められていない国もある。倫理的、社会正義的な議論ともなれば話は一段と複雑になる。自らの身体を売ることは自己決定として認められるべきではないか、女性搾取的な構造があらわれているのではないか、ダメなことなど言わなくてもわかるだろう、などである。
 それでは、相手が「人」ではなく「人形」であるとしたらどうだろうか。近年、耳にするようになった「セックスドール売春宿」(sex doll brothel)は、売春というもののあり方を根本から問い直す現象であると推察する。一言でまとめると、セックスドール(ラブドールやダッチワイフなど)を相手とする売春である。昨今、セックスドールのつくりは、相手として選択されるほどに精巧化しており、これがセックスドール売春宿の背景要因の一つになっていると推察される。
 セックスドール売春宿の現況と論点は、BBC放送が2019年1月に「Sex doll brothels: a growing trend ? 」という特集として報じている。「人形を使った売春宿は流行するのか イタリアで取材」というタイトルで日本語のダイジェスト版も作成されている。ここでは店舗の様子やインタビューも紹介されている。
 こちらは日本語のダイジェスト版である。
BBC News Japan「人形を使った売春宿は流行するのか イタリアで取材」(2019年1月24日)
 こちらがもとの番組である。
BBC NEWS「Sex doll brothels: a growing trend ? 」(2019年1月23日)
 興味深い論点がいろいろ含まれている。どのような人がなぜこのようなサービスを利用するのか、そもそもこれは「売春」なのか、どのような倫理的問題が発生する可能性があるのか、などが興味深く感じた。今後も注目すべき社会現象といえよう。