宗教調査のデータセットが公開

 宗教調査のデータが公開された。

  • American Trends Panel Wave 105
  • PRRI August American Values Atlas Wave 3
  • Religion and Social Life in Central and Eastern Europe
  • Religious Freedom Index, American Perspectives on the First Amendment, 2022
  • Springtide Research Institute's Annual Religion and Young People Survey, 2022

同性愛に対する社会的寛容:中国大陸・シンガポール・台湾の量的比較

  • Min Zhou & Tianyang Hu (2020) Social Tolerance of Homosexuality: A Quantitative Comparison of Mainland China, Singapore, and Taiwan, Chinese Sociological Review, 52:1, 27-55, DOI: 10.1080/21620555.2019.1654368

 中国大陸、シンガポール、台湾における同性愛に対する社会的寛容の比較分析。台湾は個人の価値観の違いや階層、年齢、宗教がよりはっきりしているように見受けられる。台湾社会全体での同性愛に対する賛否に着目する以上に、個人の違いに目を向けた議論が必要だと思われる。以下は、アブストラクトの試訳。

本研究は、中華文化儒教の強い影響を受けている三つのアジア社会、中国大陸・シンガポール・台湾について、同性愛に対する公的寛容の社会的関連要因を比較する。同性愛に関する社会政治的環境と公共政策は異なるため、教育、収入、年齢、宗教性などの個人レベルの要因は、三社会で異なる形で影響している。より進歩的な環境にある台湾は、中国大陸とシンガポールに比べて、個人レベルの影響が出る余地が大きい。同性愛に関しては、教育と収入の寛容促進効果と年齢と宗教性の寛容抑制効果は、中国大陸とシンガポールよりも、台湾で有意に明確である。より広範囲にわたる社会政治的環境は、社会全体レベルでの同性愛に対する寛容性に影響するみならず、その社会の中でどのような個人がより寛容なのかにも影響を与える。

妖怪の社会心理学

toyo.repo.nii.ac.jp

  • 高橋綾子(2023)『超自然的存在に対する信念が心のゆとりに与える効果:妖怪の社会的機能を含む媒介変数の検討』2022年度東洋大学審査学位論文

 備忘録。妖怪を中心とする超自然的存在が心のゆとりにどのような影響を与えるのかを分析した研究。アマビエも扱われている。貴重である。

日本の女子大学生の超常現象観

 備忘録。2015年から刊行されている日本の女子大学生の超常現象観に関する調査研究。超常現象観に関する尺度とそれに関連する心理学分析されている。(Ⅲ)は宗教意識と宗教行動と関連が取り上げられる。

dwcla.repo.nii.ac.jp

  • 諸井克英・早川沙耶・板垣美穂(2015)「女子大学生における超常現象観の基本的構造」『同志社女子大学生活科学』48:13-24

dwcla.repo.nii.ac.jp

  • 諸井克英・徳光祐衣・板垣美穂(2016)「女子大学生における超常現象観の基本的構造(2) : 超常現象観におよぼす日常的思考スタイルの影響」『同志社女子大學學術研究年報』67:69-78

dwcla.repo.nii.ac.jp

  • 諸井克英・大島有梨沙(2021)「女子大学生における超常現象観の基本的構造(Ⅲ):超常現象観、宗教意識、および宗教行動との関連」『同志社女子大學學術研究年報』71:103-114

超常信念に性自認・性表現・女性性・男性性はどう関連するかを分析した論文

 オープンアクセス論文。

 宗教に関連する意識の男女差については多くの研究がなされてきたが、性自認と性表現の視点を加えた分析は斬新である。

 従属変数には以下の6つの超常信念が使用されている(暫定的に訳出)。

  • 「ビッグフット/サスカッチは本物の生物である」
  • 「占い師とサイキックは未来を予見することができる」
  • 「精神で物体を動かせる人はいる」
  • 「現代、宇宙人は地球に来た」
  • 占星術は私の人生と正確に影響している」
  • 「幽霊は存在する」

 アブストラクトの便宜的日本語訳。

先行研究では、女性は男性よりも非物質的超常現象(例:サイキック)への信念を報告する傾向にあることが明らかにされてきた。男性が女性よりも物資的超常現象(例:ビッグフット/サスカッチ)への信念を報告する傾向にあるかどうかについては一貫した知見がなく、超常信念に関する性表現(男性的か女性的か)を検証した先行研究はない。本稿の問いは、性自認と性表現は報告された超常信念にどう関連しているのか?である。カナダ人の大規模サンプル(n=2504)を使用してこの問いに答える。女性性は、未来予見とテレキネシスに関する報告された信念の、シスジェンダー女性と男性間の違いを説明できるが、幽霊への報告された信念ついてはそうではない。興味深いことに、報告された性の非典型性は、シスジェンダー女性間とシスジェンダー男性間における全ての超常信念への報告された信念と関連する。本稿の知見は、科学が検証できない信念に関する性表現を測定する重要性を示している。