蒋経国死去当時のニュース映像

 蒋経国死去当時のニュース映像。

 台湾における歴代総統の中で最も高い評価を得ているのは蒋経国であることが指摘されている(本田2004:200-205)。本ブログでも台湾社会変遷基本調査の結果から蒋経国の評価の高さを示唆してきた。

shterazawa.hatenablog.com 2021年10月13日

 蒋経国時代は台湾の民主化、自由化、経済発展が進展し、本土化への舵取り、戒厳令解除や探親の許可などが行われた。背景要因は複雑だと思われるが、こうした時代背景も蒋経国に対する評価の高さと関連することが推察される。

 今日の台湾の人々は蒋経国をどのように考えているのか。台湾全体の社会意識の中のどのような部分に位置づけられるのか。現代台湾社会を見る上で不可欠のテーマだと考える。そのためには、蒋経国とはどのような人物であり、蒋経国時代とはどのような時代だったのかをできるだけ具体的に整理していく作業が求められよう(蒋経国蒋経国時代は詳細は本田(2004:69-132)、沼崎(2014:75-91)、菅野(2019)、若林(1997)が詳しい)。

 本記事では蒋経国死去(1988年)を報じたニュースをメモしておく。蒋経国死去は当時の台湾において印象的な出来事の1つだったとされる。たとえば、当時、台湾に滞在していた沼崎は、その様子を以下のように述べており、ここから当時の様子をうかがい知ることができる。

 蔣經國が死去した日には、テレビ画面から色が消えて驚きました。最初はテレビが壊れたのかと思ったのですが、そうではなくて、全ての放送局がカラー放送から白黒放送に変えたのでした。普段は色彩豊かな新聞も、翌朝から白黒印刷になっていました。マスコミが一斉に「喪に服した」わけです。亡き相当を悼む歌が作られ、繰り返し放送されました。「親愛的蔣經國先生・・・」(チンアイディチングォシェンシェン 親愛なる經國さま)という出だしの歌詞とメロディを今でも覚えています。テレビは特別番組一色で、第二次世界大戦中の抗日映画が放送されたりもしました。社会全体に服喪を強要されている感じが、数日間続きました。忘れられない思い出です。

 

(出典)沼崎一郎(2014)『台湾社会の形成と変容─二元・二層構造から多元・多層構造へ』東北大学出版会:77-78。字体は引用元のままにした。

 これは華視の歴史上的今天で取り上げられた映像である。

youtu.be  2021年10月13日閲覧

 こちらは東森で報じられたものである。

youtu.be  2021年10月13日閲覧

 前半は蒋介石であり、蒋経国は0:30以降である。

参考文献