TVBSが1998年と2003年に実施した世論調査では、蔣経国の様々な政策に対する評価を尋ねている。20年以上前の調査であるため、現在の台湾での評価とは異なる可能性があるが、蔣経国をめぐる社会意識を見る上での重要な参照点である。
質問文は「数日(1月13日)で蔣経国没後15周年になります。以下、蔣経国の生前の比較的重要な行為をいくつか挙げます。その中であなたが最も印象に残っているものを教えてください」。
結果は以下の通りである。
表1 最も印象深い蔣経国の政策 | ||
1998年(n=1005) | 2003年(n=998) | |
白色テロ | 1.0% | 2.0% |
経済建設 | 45.0% | 56.0% |
探親 | 14.0% | 8.0% |
戒厳令解除 | 25.0% | 22.0% |
専制統治 | 2.0% | 1.0% |
意見無 | 14.0% | 12.0% |
(注)TVBS民意調査中心(2003)「蔣經國逝世十五周年民調」の表6をもとに寺沢重法作成。 |
最も多く選ばれたのは経済建設(45.0%、56.0%)、その次に多く選ばれたのは戒厳令解除(25.0%、22.0%)。白色テロと専制統治の二つは蔣経国への批判の中の最も重要な争点だが、最も印象深いものとして選んだのは約2.0%である。
2004年に実施された台湾社会意向調査によると、蔣経国時代のような政治が良いと考える人は5割弱だった。
蔣経国時代を懐かしむ声は少なからずあったものと思われる。
参考文献
- 寺沢重法(2023)「蔣経国に対する評価の基礎的分析」『火輪』44:6-46