「台湾は親日である」というイメージを踏襲するならば、「台湾には、尖閣諸島の一部である釣魚台を日本領だと考えている人が多いだろう」と推察できるかもしれない。だが、実際はどうなのか。(1)台湾民意基金会(2023年6月)の世論調査(2)中央研究院社会学研究所の台湾社会意向調査(2018年第二次)で確認する。
質問文は 「故李登輝前総統は『釣魚台は日本のものであって、台湾のものではない』と言いました。あなたはこの主張に同意しますか、それとも同意しませんか?」(p.9)。
結果は以下の通りである(図7と図8(pp.9-11)をもとに整理)。(n=1080)
同意するが12.2%であるのに対して、同意しないは70.6%、残り17.2%の意見ははっきりしない。同意する人はどちらかといえば少数派である。全く同意しないと答えた人の割合は最も多い(36.4%)。
(2)台湾社会意向調査(2018年第二次) 報告書
質問は「次は釣魚台と主権についておうかがいしたいと思います。あなたは釣魚台の主権は、台湾、日本、それとも中国にあると思いますか?」(p.16)。
結果は以下の通りである(p.16)。(n=1237)
- 台湾 76.9%(951人)
- 日本 8.4%(104人)
- 中国 4.4%(54人)
- わからない 9.5%(118人)
- 答えたくない 0.8%(10人)
76.9%は台湾領だと考えており、日本領だと考えている人は10%未満である。
この二つの結果を見る限り、釣魚台を日本領だと考えている人は台湾では多くはなく、むしろ少ないことうかがわれる。