更新2021年5月30日
個別地域の奴隷制の歴史に深く分け入るというよりも、複数地域・複数時代間の比較を継続させながら分析するスタイルの社会史である。社会科学的歴史分析法の参照点として手元に置いておくのもよさそうである。読むにあたってはそれなりに歴史的知識が前提とされるような印象もある。奴隷制、さらには奴隷というものがどのような存在であるか、社会変動の中でどのような歴史過程を辿ってきたのかを、膨大かつ網羅的なデータに基づいて描き切っている。量的なデータから質的なデータまで、扱う資料の対象は幅広く、巨視的な観点が貫かれている。本書の書評に布留川(2002)があり、とても参考になる。06/27/2015 11:10:11
参考文献