「株主優待の価値に関する考察」(安武2016)

更新2021年5月31日

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  • 安武妙子(2016)「」『創価経済論集』45(1-4):129-136。

  株主優待が株価等にどう影響を与えているのかといった問題を分析した論文。重要な指摘は株主優待に関する学術研究が限られているという指摘だ。著者は冒頭で学術的な株主優待研究が限られていることを指摘している(p.129)。確かに海外では株主優待というものが必ずしもメジャーではないが(p.129)、日本の株式投資においては、株主優待は少なからぬインパクトをもっている。例えば、株主優待の特集を組んだマネー雑誌が書店で平積みにされ、桐谷広人氏のような株主優待で知られる投資家も活躍している。そうであるならば、日本の株式市場や企業の研究において、株主優待に関する研究がもっと行われてきてもよかったように思われるのだが、どうもそうではないらしい。また、本論文の末尾では、海外で株主優待はメジャーではないがゆえに、日本の株主優待の研究は、より一層重要な研究テーマになり得る可能性を指摘する(p.136)。貴重な論文である。株主優待研究がより一層発展していくことを願っている。