香港における環境主義とキリスト教的価値観:スチュワードシップ・正義・愛・教会環境教育の潜在的影響

  • Ho, M.Y., Hui, T.Y. and Chan, J.K.Y. (2024), Environmentalism and Christian Values in Hong Kong: The Potential Influences of Stewardship, Justice, Love, and Church Environmental Education. J Sci Study Relig.. https://doi.org/10.1111/jssr.12930

 香港における環境主義キリスト教の関係を分析した論文(オープンアクセス)。キリスト教環境主義の関係はネガティブなのかポジティブなのかについては、様々な研究結果が提出されてきたが、香港に関しては総じてポジティブであることが明らかになる。Introductionではこの研究テーマに関する理論と先行研究が詳しく整理されている。DIscussionでは中国語訳聖書で使用される訳語の影響の可能性も示唆されている。

 以下はアブストラクトの便宜的試訳。

1967年に刊行されたLynn Whiteの論文はキリスト教生態学的危機の根本的原因であると指弾したが、その刊行以降、クリスチャンの環境主義に影響を与える宗教的属性に対して多くの関心向けられてきた。本研究の目的は、香港という、二世紀以上も前からキリスト教がもたらされてきたアジアの都市におけるキリスト教環境主義の関係を評価することである。概して、香港のクリスチャンは非クリスチャンよりも環境のために犠牲となる意志が強かった。スチュワードシップ世界観とキリスト教的正義と愛の両方がクリスチャンにおける環境主義の主要な原動力であり、これは教会環境教育によって向上されることが明らかになった。本研究の知見は、キリスト教-環境主義の結びつきの多様性を拡大する特徴的な例を提供し、香港の文脈におけるスチュワードシップ世界観の機能的役割を浮き彫りにしている。しかしながら、香港の教会には、地域のクリスチャンの間に存在する意志-行動のギャップを橋渡しするためのより強い環境教育も求められる。