台湾における同性愛に対する態度の変化(Cheng et al. 2016)

  • Yen-hsin Alice Cheng, Fen-Chieh Felice Wu & Amy Adamczyk (2016) Changing Attitudes Toward Homosexuality in Taiwan, 1995–2012, Chinese Sociological Review, 48:4, 317-345, DOI: 10.1080/21620555.2016.1199257

 世界価値観調査(World Values Survey)の1995年、2006年、2012年調査データを用いて、台湾における同性愛への態度がどのように変化したのか、変化させた要因は何か、を分析した論文。

 要約の最後に書かれている、同性愛の賛否と宗教の関係が目に留まった。すなわち、キリスト教との関連を1995年と2012年で比較すると、前者では不寛容とはいえなかったが、後者では他の宗教よりも不寛容な傾向が確認されたという。

 台湾のLGBTを巡る論争において、キリスト教が要であることがたびたび指摘されてきた。たとえば、以下の記事が参考になる。

 この記事では、国民党に近い立場のキリスト教同性婚に賛成)、民進党に近い立場のキリスト教があり、後者はさらに神学上の問題やマイノリティーに対する考えなどにって、賛成派と反対派に分かれたことが指摘されている。

 台湾におけるキリスト教と同性愛の込み入った関係が、上述の分析結果にも関連しているのかもしれない。