王向華と邱愷欣の両氏の論集。台湾を中心とする華人社会と日本のAVがテーマである。両氏とも文化人類学と日本研究を専門としている。香港や台湾における日本のAVの受容に関する研究に長らく従事し、その成果として『Japanese Adult Videos in Taiwan』を刊行している(寺沢2020)。
本書はその姉妹編として位置づけることができる。全体として英語の既刊論文(寺沢2020:174-175)を中国語訳したものがベースになっている。
本書の出版社であるAiriti Pressの書籍紹介から本書の目次を確認してみると以下のようになる(著者名と訳者名は省略した)。
- 前言
- 第一部分:文化符碼
- 性—臺灣女性的性存在由「人類」轉化為「動物」的儀式
- 貶低女性以淨化男性—日本Akume 電影拍攝現場的民族誌
- 第二部分:消費/生產的文化
- 「真正的性調」—臺灣男性對日本成人電影的品味
- 我說不喜歡看日本A片只是因為你喜歡它—臺灣色情品消費的性別政治
- 超越生產與消費的對立—在臺灣的日本A片字幕翻譯的研究
- 第三部分:文化與個體
- 個人行為如何跟從文化,卻不受其規限—反思臺灣女性使用色情電影的情況
- 「性」的手段,「非性」的目的—日本色情A片在臺北之使用
- 第四部分:交碰的文化
- 新性感女神典範之興起—夕樹舞子色情光碟在香港之個案分析
- 跨越國境的日本成人A 片與戰後臺灣有線電視的出現
全体で4部構成になっており、各種文化理論や消費論を軸としている。アクメ、AVの字幕、戦後台湾のメディア、夕樹舞子のAVなど単語が確認される。
参考文献
- 寺沢重法(2020)「書評 日本のアダルトビデオ、台湾へ―Heung-wah Wong and Hoi-yan Yau著『Japanese Adult Videos in Taiwan』」『饕餮』28:166-175。