寺沢(2020)に関連するメモ。サンプリング調査におけるA片視聴者を台湾社会変遷調査で確認する。2008年実施のデータが該当する。
過去1年において、映画館に行った頻度(B31)、ビデオ、レーザーディスク、DVD、VCDを視聴した頻度(B32)を尋ね、どちらも全くないと答えた人を除き、どのようなジャンルを見たのかを3つまで尋ねている(B33)(張・廖編2009:31、143-144)。
「A片」は必ずしも映画のみを意味するわけではないが、参考になると思われる。
3つまでの選択肢を合計した結果が以下の表である。ポルノ映画(調査票の選択肢でA片と書かれている)が該当する。
表1 過去1年に映画館、ビデオ、レーザーディスク、DVD、VCDで視聴した映画(回答は3つまで、下記集計はその合計)(2008年実施のTaiwan Social Change Suvey) | ||
度数 | % | |
恋愛映画 | 402 | 20.3% |
SF映画 | 380 | 19.2% |
ホラー映画 | 271 | 13.7% |
社会派映画 | 234 | 11.8% |
アクション映画 | 645 | 32.6% |
ポルノ映画 | 5 | 0.3% |
コメディー映画 | 561 | 28.3% |
戦争映画 | 308 | 15.6% |
スポーツ映画 | 43 | 2.2% |
ミュージカル映画 | 87 | 4.4% |
西部劇映画 | 34 | 1.7% |
宗教映画 | 37 | 1.9% |
アニメ映画 | 207 | 10.5% |
武俠映画 | 202 | 10.2% |
災害映画 | 121 | 6.1% |
教育映画 | 48 | 2.4% |
グルメ映画 | 42 | 2.1% |
ミステリー映画 | 242 | 12.2% |
その他 | 62 | 3.1% |
回答洩れ | 11 | 0.6% |
わからない・記憶にない | 45 | 2.3% |
答えたくない | 1 | 0.1% |
該当しない | 0 | 0.0% |
合計 | 1980 | 100.0% |
(出典)張苙雲・廖培珊主編(2009)『台灣社會變遷基本調查計畫第五期第四次調查計畫執行報告』中央研究院社會學研究所(2021年6月22日取得、 https://www2.ios.sinica.edu.tw/sc/cht/datafile/tscs08.pdf)の「B33.您到電影院看電影或是看錄影帶、影碟、DVD或VCD,最常看的是以下哪三類影片類型?」(p.144)より寺沢重法作成。 |
映画館、DVD、VCDなどでポルノ映画を視聴するのは5人(0.3%)である(0.3%)。計量分析のハードルは低くないかもしれない。
もっとも、「性的に露骨なメディア」(sexually explicit media、SEM)について尋ねた場合は、約50%が視聴経験ありと答えている(Lin et al. 2020)。ポルノの媒体の違い、質問方法の違いによって回答結果が変わる可能性もある。
参考文献
- 張苙雲・廖培珊主編(2009)『台灣社會變遷基本調查計畫第五期第四次調查計畫執行報告』中央研究院社會學研究所(2021年6月22日取得、
- Lin WH, Liu CH, Yi CC (2020) Exposure to sexually explicit media in early adolescence is related to risky sexual behavior in emerging adulthood. PLOS ONE 15(4): e0230242. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0230242
- 寺沢重法(2020)「書評 日本のアダルトビデオ、台湾へ―Heung-wah Wong and Hoi-yan Yau著『Japanese Adult Videos in Taiwan』」『饕餮』28:166-175。