アメリカにおける銃規制に対する考え方、銃所持状況─2018年実施のGSSを確認

www.cnn.co.jp  2021年6月30日閲覧

  先日、アメリコロラド州で銃に関する事件が起きた。CNNのニュースによると、銃乱射を阻止しようとして銃撃事件の容疑者を射殺した男性が、さらに警察官に射殺されたという。

 2021年6月にはテキサス州で拳銃所持規制が緩和される方向に進んだ。

 アメリ社会学においては銃の分析が行われてきた(Yamane 2017)。つい先日も、Kelley and Ellison(2021)という論文が刊行された。

 アメリカの銃文化を見る前提として、銃に対する人々の意識と行動の基本的な全体像を把握する必要がある。その一環として、社会調査データにおける銃に関する設問の主計結果をここでメモしておく。

 銃に関する社会調査には様々なものがあるが、ここではGSS(General Social Survey)を確認する。

 GSSはアメリカにおける最も重要な社会調査の1つである(全国規模のサンプリング調査)。データが公開されているため、二次分析可能である。GSSを分析した様々な社会学的研究が蓄積されている(鈴木2020:222-223)。そのため、銃についてもまずはGSSの集計結果を見ることに意味があろう。

  GSSの設問と集計結果はGSS Data Exploreという特設サイトで検索可能である。この中から2018年実施のデータ(最新公開データ)を確認する。

 まず、銃を規制する法律に対する支持、不支持(銃購入に際して警察の許可を求める法律を支持するかどうか)の結果である(表1)

表1 銃を規制する法律に対する支持・不支持(2018年実施のGeneral Social Survey)
  度数 %
Favor(支持) 1102 70.0%
Oppose(反対) 439 27.9%
Don't know(わからない) 26 1.7%
No answer(無回答) 7 0.4%
合計 1574 100.0%
(出典)GSS Data Explore(2021年6月30日取得、https://gssdataexplorer.norc.org/variables/272/vshow)から寺沢重法整理・作成(百分率も算出)。非該当は除いてある。質問文は「Would you favor or oppose a law which would require a person to obtain a police permit before he or she could buy a gun?」。

 支持は70.0%、不支持は27.9%である。少なからぬアメリカ人が銃を規制する法律に対して支持している様子がうかがわれる。また、DK・NA回答は合計して約2%であることを含めて考えれば、意見を表明しやすいテーマであることも推察される。

 それでは、銃の所持状況はどうだろうか(表2)

表2 銃所持状況(2018年実施のGeneral Social Survey)
  度数 %
Yes(所持している) 537 34.1%
No(所持していない) 993 63.1%
Refused(答えたくない) 39 2.5%
Don't know(わからない) 5 0.3%
No answer(無回答) 0 0.0%
合計 1574 100.0%
(出典)GSS Data Explore(2021年6月30日取得、https://gssdataexplorer.norc.org/variables/679/vshow)から寺沢重法整理・作成(百分率も算出)。非該当は除いてある。質問文は「Do you happen to have in your home (IF HOUSE: or garage) any guns or revolvers?」。

  所持しているが34.1%、所持していないが63.1%である。所持していない人が多い様子がうかがわれる。規制に対する意識については支持する人は70.0%だったのに対して、実際の所持状況については所持していないは63.1%である。意識と行動の間で若干のずれがあるのかもしれない

 この設問の他に、所有している銃の種類などを尋ねる設問もあるが、これについては別の機会に確認してみたい。

参考文献