更新2021年7月2日
一か所にまとめるために、ここでメモする。アクセスしやすさを考慮し、オンライン上で公開されているものに限定する。随時、更新する予定である。
(1)検索システム
www.koryu.or.jp 2021年7月1日閲覧
日本台湾学会による文献検索システムである。戦後日本の文献が収録されている。
収録されている文献の特徴は以下の通りである。
本目録は、戦後の日本における台湾関連の文献を収集したものである。したがって、戦前期のものや、日本人研究者が海外で公刊した論考は含まれていない。また、戦前に公刊されていても、戦後復刊されたものは採録対象とした。内容的には、研究論文だけでなく、図鑑、事典、ガイド、小説などを幅広く包摂している。形態は活字とし、音声媒体、デジタル媒体のものは含んでいない。
(出典)凡例 | 公益財団法人日本台湾交流協会(2021年7月1日閲覧)
収録すべき文献があれば情報提供をと書いてある(データベースの説明 | 公益財団法人日本台湾交流協会(2021年7月1日閲覧))。検索でヒットしない文献があれば、情報提供してみてもよいかもしれない。
(2)レビュー論文
日本台湾学会の『日本台湾学会報』で分野別動向の特集が組まれることがある。
まず、2019年刊行の第21号に収録されている。学会設立20周年記念シンポジウム「『新たな世代』の台湾研究」を特集論文として収録したものである(リンク先のPDFのURLは特集論文のコーナーに記載されているものを使用)。
- 菅野敦志(2019)「日本における台湾史研究、この10年から考える」『日本台湾学会報』21:1-18。
- 宮岡真央子(2019)「日本の人類学におけるこの10年の台湾研究」『日本台湾学会報』21:19-38。
- 赤松美和子(2019)「日本の台湾文学研究この10年(2008-2017)」『日本台湾学会報』21:39-56。
- 家永真幸(2019)「台湾政治研究の回顧と展望(2008-18年)―この10年、これからの10 年」:57-72。
- 「パネルディスカッション質疑応答録 」『日本台湾学会報』21:73-81。
次に、2009年刊行の第11号でも特集が組まれている。設立10周年記念シンポジウム「台湾研究この10年、これからの10年」に基づいたレビュー論文特集である。
- 若林正丈(2009)「総合司会挨拶」『日本台湾学会報』11:1-4。
- 春山明哲(2009)「日本台湾学会の10年を振り返って」『日本台湾学会報』11:5-10。
- 下村作次郎(2009)「台湾研究、この10年、これからの10年─関西地域における台湾研究」『日本台湾学会報』11:11-26。
- 松田康博(2009)「台湾政治研究はどこから来て、どこへ向かうか?―これまでの10年、これからの10年」『日本台湾学会報』11:27-44。
- 佐藤幸人(2009)「台湾経済研究における課題とアプローチの変化」『日本台湾学会報』11:45-56。
- 三尾裕子(2009)「台湾研究この10年─台湾を対象とした人類学の発展過程」『日本台湾学会報』11:57-66。
- 星名宏修(2009)「台湾文学研究、この10年、これからの10年」『日本台湾学会報』11:67-74。
- 駒込武(2009)「台湾史研究の動向と課題―学際的な台湾研究のために」『日本台湾学会報』11:75-90。
- 川島真(2009)「総括と提言─設立10年を経た「台湾研究」のイメージ」『日本台湾学会報』11:91-94。
- 「パネルディスカッション質疑応答録」『日本台湾学会報』11:95-104。
日本の台湾研究は、主に政治、経済、文学、歴史、人類学、産業を中心に担われてきた様子がうかがわれる。
もっとも、台湾研究以外の領域で台湾を扱った研究もあろう。本ブログで言及した研究としては、たとえば、クレジット・与信の研究(桑名・他2005;桑名・岸本2008)、アニメ視聴者の計量社会学的日台比較研究(孫2010)、観光学や建築学などによる金門島研究(林2020;長野・他2016;武井2018;漆原・陳2007)などが該当すると思われる。
このような領域における台湾の分析を視野に入れれば、台湾研究の裾野はさらに広がるのではないだろうか。
参考として台湾社会学のレビュー論文を提示しておく。
- 張茂桂・章英華・湯志傑(2005)「台湾社会学の歴史形成と制度発展」『現代社会理論研究』15:448-465。
- 岩井紀子(2006)「台湾の研究者による東アジアの家族研究」『家族社会学研究』17(2):79-80。
- 李奉儒(=山田浩之訳)(2017)「台湾における教育社会学研究の歴史的回顧と発展状況」『教育社会学研究』100:20-31。
参考文献
- 桑名義晴・岸本寿生・山本崇雄(2005)「台湾と香港における消費者金融サービス業の現状と特徴─日本の消費者金融企業の進出に向けて」『消費者金融サービス研究学会年報 』(6): 43-52。
- 桑名義晴・岸本寿生(2008)「日本の消費者金融企業のアジア進出戦略の課題─香港、台湾、タイを中心にして」『パーソナルファイナンス学会年報 』9:39-50。
- 長野真紀・今村文彦・黄國賓(2016)「東アジアの離島集落に見る住まいの変容と生活文化―台湾金門島及び八重山諸島石垣島を事例に」『芸術工学2016』。
- 孫郁雯(2010)「日本アニメ視聴者の国際比較分析─JGSS-2008とTSCS-2008のデータを用いて」『日本版総合的社会調査共同研究拠点研究論文集』10:173-182。
- 武井基晃(2018)「金門島の砲弾鋼刀─国共内戦戦跡のしたたかな名産品」『歴史人類』46:88-78。
- 漆原和子・陳国彦(2007)「澎湖列島と金門島における防風のための石垣」『国際日本学』5:127-150。
- 林涛(2020)「観光の真正性についての一考察―金門島における中国人インバウンドの事例から」『愛知大学国際問題研究所紀要』155:265-285。